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日本の森を守る 見山謙一郎のコラム

第42回 日本の森を守る地方銀行有志の会×SDGs(6)
~社会課題ドリブンで、地方銀行の近未来を想像し、創造する

第32回情報交換会について

SDGsの調査・研究が、今期の日本の森を守る地方銀行有志の会の活動方針ということで、「日本の森を守る地方銀行有志の会×SDGs」をテーマに、シリーズでコラムを書かせていただいています。去る2月20日の情報交換会では、経済産業省と環境省からゲスト講師をお招きしました。経済産業省からは、投資家と企業との対話型のコミュニケーションという観点から、第40回コラムでも紹介したESGやSDGsの視点を踏まえた「価値協創ガイダンス」を中心にお話をしていただきました。地方銀行は自らも企業として投資家と対峙する必要がありますが、他方では自らが投融資を行う立場から投資家としての視点も必要となります。今後、企業と投資家間の対話の為の共通言語(ツール)として、ESGやSDGsは欠かすことが出来ない視点となるはずです。 また、環境省からは地域資源循環と経済循環の概念と、自然共生の概念を融合した「地域循環共生圏(日本発の脱炭素化・SDGs構想)」を中心にお話をしていただきました。「循環」という概念は、資源、経済、自然ともに持続可能な仕組みを構築する為に常に求められるものであり、「地域循環共生圏」の目指すところは、これまでの「環境か、経済か」という対立構造ではなく、社会全体のエコシステムを考えるという点において、ESGやSDGsにも通ずる価値観を示すものなのです。

地域循環共生圏

出典:環境省

出典:環境省

社会課題ドリブンによる、金融のイノベーションについて

ESGにせよ、SDGsにせよ、そこに共通するものは「社会の課題とどのように対峙するか」ということに他なりません。先日、オムロンの創業者の立石一真氏が1970年に提唱した「科学」「技術」「社会」が相互に作用しながら発展していくという「SINIC理論」についてお話を伺う機会がありました。SINICとは、Seed(種)、Impetus(刺激)、Need(必要性)、Innovation(革新)そしてCyclic Evolution(円環的発展)の頭文字を取ったものです。立石一真氏は「事業を通じて社会的課題を解決し、よりよい社会をつくるにはソーシャルニーズを世に先駆けて創造することが不可欠になる。そのためには未来をみる羅針盤が必要だ」と考えSINIC理論を構築し、オムロンは今尚、この理論を未来シナリオの基盤としています。こうしたことから、「オムロンのイノベーションは、技術ドリブンではなく、社会課題ドリブンである」というお話がとても印象的でした。 金融のイノベーションに関しては、第34回コラムで、バングラデシュやケニアのモバイルファイナンスの取り組みについて紹介しましたが、こうした事例を現地で実際に見ると、FinTechは金融制度の整備された先進国からではなく、金融にアクセスできる人が限られる途上国から起こるのではないか、と思わずにはいられません。金融システムは現代社会において、重要な社会インフラであり、必然的に社会課題への対応が求められているからです。故に、金融イノベーションは、技術ドリブンではなく、社会課題ドリブンで起るのだと思うのです。

社会課題ドリブンで、地方銀行の近未来を想像し、創造する

では、地方銀行のメイン市場である地方の課題とは何でしょうか?この問題については、決して一言で述べることはできず、地域によって、重要課題は変わるものだと思います。先日、ある地方自治体の「SDGs未来都市」の申請に関するアドバイザリー業務を担当しました。現在の総合計画をSDGsの17のゴールと169のターゲットを使って整理することからはじめ、2030年にありたい姿(ゴール)について具体的にイメージし、目標値としてのKPIを設定し、そこに至るまでの道筋をマイルストーン(ターゲット)としてKPIを含めて設定する作業を行いました。まさに、想像から創造を生み出す、そんな作業でした。実際に地域の課題に取り組む為には、地域のステークホルダー(≒課題当事者)の参加と連携の仕組みづくりが必要となり、そこには当然の如く、地方銀行の参加も不可欠となります。地域の社会課題に「政策」という仕組みで取り組む地方自治体と、「金融」という重要な社会インフラを担う地方銀行が連携することが、今、まさに求められているのです。そして、地方銀行が、地域の社会課題としっかり向き合うことで、地域の社会インフラとしての金融の役割と、今後の地方銀行のありたい姿、あるべき方向性が見えてくるのだと思うのです。地域の社会課題に対峙することなく、2030年の近未来の地方銀行の姿は描けません。そのことが、ESGやSDGsという社会課題に対峙する為のツールを地方銀行が活用する、真の意味なのです。

参考資料

オムロンHP 経営の羅針盤-SINIC理論 以 上

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