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日本の森を守る 見山謙一郎のコラム

第39回 日本の森を守る地方銀行有志の会×SDGs(3)
~地方銀行がSDGsに取り組む意義

前回のコラムでは、「SDGs(持続可能な開発目標)」の前身である「国連ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals:MDGs)」について取り上げ、MDGsからSDGsへと引き継がれた理念と課題、そして本会で「SDGsの調査・研究」を進めていく意義について紹介しました。今回は地方銀行がSDGsに取り組む意義について述べてみたいと思います。

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http://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/15775/

SDGsを経営戦略に落とし込む

前回のコラムでも述べた通り、SDGsでは「先進国から途上国への支援」という“一方向的な視点”ではなく、先進国と途上国の垣根を超えた“双方向の視点”が求められています。そして、我が国でこの取り組みを進めていく為には、産官学金民や、都市と地方の垣根を超えた“多面的な視点”や“連携・共創の体制”が必要となります。地方銀行に寄せられる社会からの期待は、これから本会で進めて行く「SDGsの調査・研究」を起点に、本会の活動を超えて各銀行の経営戦略に繋げて行くことです。地方銀行に関わらず、企業が取り組むべきSDGsとは、メセナ的な慈善活動や社会貢献活動だけではなく、様々な社会課題と向き合い、本業領域において持続可能なビジネス的手法で課題解決の目標を掲げ、企業活動を行うことに他なりません。このことは、敢えて「SDGs」というキーワードに頼らずとも、企業の社会的使命(原点)であり、経営戦略にも直結するものです。つまり、SDGsと企業の経営戦略とは不可分なものと言えます。2017年11月8日に日本経済団体連合会(経団連)がSDGsの達成を柱として企業行動憲章を改定したことは、企業経営の原点に立ち返る取り組みの1つになるはずです。


本業領域で繋がる「SDGs」

これまでも、日本の企業は海外から横文字の概念が入ってくる度に、右往左往することを繰り返してきました。まさに今の「SDGs」がそうですが、1990年代後半に言われるようになった「CSR」の時もそうでした。実は、「CSR」の本質も、SDGsと同じように、メセナ的な慈善活動や社会貢献のみを指す言葉ではありません。しかしながら、生真面目な日本人は、なぜか本業と切り離して解釈してしまいがちです。「CSR」は「社会」、「環境」、「経済」のトリプルボトムラインで説明されますが、生真面目な性格は、しばしば“手段”と“目的”を混同しがちです。「CSR」においては、社会性や環境の追求は“目的”になり得ますが、経済活動は目的を達成する為の“手段”です。世界最大のNGOであるバングラデシュのBRACは、「CSR」の概念を3つのP(People, Planet and Profit)で捉えており、社会課題であるPeople(社会性)、Planet(環境)に向き合う為、寄付等の資金的な支援のみに頼ることなく、自らが経済活動を行い、Profitを生み出すことを“手段”として捉えています。BRACは、社会性や環境への対応を通じた様々な経済活動を通じて利益を生み出し、それを従業員に還元し雇用を創出しています。そして、継続的且つ、発展的な取り組みにする為に、事業(本業)への再投資を行い、更なる雇用の創出や社会課題の解決に向けた取り組みを行っています。つまり、経済活動を社会課題の解決に向けた取り組みを行う為の“手段”と捉えることにより、「CSR」も「SDGs」も本業領域で繋がるのです。


地方銀行×SDGs

「SDGs」で取り組むべき社会課題は、先進国と途上国で違いこそありますが、それぞれの取り組みから学ぶべきことは、上述したバングラデシュのBRACのように数多くあります。特に、地方と途上国の課題を相対化して捉えることで、解決に向けたヒントを得ることが可能になります。

例えば、途上国における「支援」と、地方における「交付金」の課題を相対化すると、いずれも根本的な解決に向けた目的の設定として、「自立的発展」が求められる点で、共通点を見出すことが出来ます。


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また逆に、途上国と先進国の大きな違いとして、労働人口の増加(途上国)と少子高齢化(先進国)という人口構成の違いがあげられますが、それぞれの特徴を組み合わせることで、相互補完の関係を構築することも可能です。既に、地方の中小企業の中では、途上国から技能研修生を受け入れることで、人材不足と将来的な途上国とのビジネス連携を見据えた取り組みを行うところも出ています。「SDGs」という世界共通の目標と向き合うことは、途上国を含めた世界的視野に立つことに繋がり、そこから地方の課題解決の糸口が必ず見つかるはずです。そして、そのことこそが、本会、そして地方銀行がSDGsに取り組む、本質的な意義なのだと思います。

以 上

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