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日本の森を守る 見山謙一郎のコラム

第35回 地域活性化に必要な3つの要素と地方銀行の役割

先日、地方自治体の首長と意見交換をさせていただく機会があり、地域活性化の取り組みについて意見を求められました。今回のコラムでは、その時にお話した「地域活性化に必要な3つの要素」と、地方銀行の役割について触れたいと思います。

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1、地域住民の参加~「目的」の明確化と「手段」の多様性

地域活性化は、短期間では成果を測ることが出来ず、長期的な視点や俯瞰的な視点が求められます。斬新なアイデアなどがマスメディアに紹介されることで、一過性のブームをつくることは出来るかも知れませんが、ブームが去れば、元の木阿弥です。長期的、継続的な取り組みにする為には、地域住民が当事者意識を持ちながら能動的に参加し、旗振り役である地方自治体と「地域の中長期的なビジョン」を共有することが求められます。「中長期的なビジョン」とは、その地域がこの先、どのような姿でありたいか、という理想や目的を明確化することです。そして、より重要なことは、目的に向かう「手段」はひとつではなく、多様性があって良い、ということです。行政のような大きな組織は、一度手段を特定してしまうと、その手段に囚われられ過ぎ、手段と目的が混同することも起こり得ます。そうならないよう、「目的」を住民と共有し、住民参加型の様々な仕掛けや仕組みという多様な「手段」を促し、受け入れる必要があるのです。また、地域住民の能動的参加を促す為には、住民の個人的動機と、地域が目指すべき姿とが、どのように繋がっているのかを、地方自治体と地域住民で話し合い、理解し合うことが必要です。そして、地方銀行には、地域金融を司る当事者としての機能に加え、地域の仲介役、触媒としての機能が期待されているのです。

2、経済的に自走する仕組み~国の支援メニューの活用意義

少子高齢化や地域経済の衰退など、地方は課題の先進地域である為、国は様々な支援メニューを準備しています。しかし、支援はあくまでも期間限定のもので、国が本当に期待することは、交付金や補助金等の資金を元手に、経済的に自走する仕組みを地域ごとに生み出すことです。私が制度設計のお手伝いをした総務省の「地域経済循環創造事業交付金」もまさに同様の支援メニューです。この交付金は、地方銀行など地域金融機関の融資を採択要件にしていますが、意図することは、行政からの交付金を梃子に、「経済的に自走する仕組み」を地域金融機関の支援のもとで構築することに他なりません。昨年度までは、無担保・無保証の融資が前提でしたが、今年度からは事業対象物件を担保に取ることが認められました。また、融資以外にも、地方活性化ファンド等のファンドで融資代替することも、限定的ではありますが、一部試験的に始める予定です。ここで重要なことは、地方自治体、地域金融機関が、地域のプロデューサーであるという当事者意識を持って、互いに連携、協力して取り組むことです。仕事柄、地方自治体、地域金融機関の双方にお話を伺う中で、どちらからもそれぞれに対する不平不満を聞くこともありますが、それは役割の違いから生じる不平不満だと感じています。「地域経済循環創造事業交付金」は、地方自治体、地域金融機関の役割分担が明確であることから、連携、協力のツールにもなり得ると思います。

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3、取り組みの「見える化」~地域の参加人口を増やす仕組みづくり

一般的に、地域産品では売上高が、観光資源では訪問者数が、それぞれ定量的な評価指標として取り上げられます。勿論、これらの指標はとても重要な指標です。これらの指標が順調であれば、問題はありませんが、地域活性化ということの性質上、すぐに数字に繋がらないことや、なかなかうまくいかないことの方が、むしろ事例としては多いと思います。地域活性化の取り組みは、本来、中長期的であるべきですが、目に見える成果が伴わないと、途中で息切れしてしまうことも少なくありません。地域住民の継続的な参加を促す指標は、数字で測れる「定量的な指標」だけではないはずです。そこで数値では測れない「定性的な評価指標」という話になるのですが、これはなかなかの難題です。この難題を解くヒントは、地方紙やケーブルテレビ等の地域メディアの活用にあるような気がします。学生と地方に出向くと、様々な地域メディアから取材を受けます。また、地方の方とお話をさせていただくと、地方紙やケーブルテレビから情報を得ていることが分かります。国、地方自治体、地域金融機関、地域住民が協力、連携する取り組みに、地域メディアも地域のプロデューサーの一員として積極的に参加し、様々な取り組み状況を継続的に地域内で発信することで、より多くの地域住民を巻き込むことや、現状や課題を議論し合うきっかけにも繋がると思います。こうした取り組みにより、地域活性化の熱量を高め、参加人口を増やすことが、地域活性化の原動力となるはずです。地方銀行には、地域の全体像を俯瞰できる、地域の総合プロデューサーとしての役割を強く期待したいと思います。

以 上

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