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日本の森を守る 見山謙一郎のコラム

第37回 日本の森を守る地方銀行有志の会×SDGs

7月18日に日本の森を守る地方銀行有志の会の節目となる、「第10回総会」が開催されました。本総会では新たな活動計画として、「SDGsの調査・研究」が決議され、次の10年に向けた活動指針となることが期待されます。

行動は関心を持つことから生まれる

先日、大学の講義で起業の意識調査を行ったところ、約40名の学生のうち、「起業したい」と考える学生が5名、「今は考えられないが将来的に考えたい」という学生が10名程度、そして過半数の学生が「起業は全く考えられない」と回答しました。受講生が現在就活中の4年生や、就活を意識し始める3年生ですので、「今はまだ起業は考えられない」という現実的な回答になることは十分予想できました。こうした中で、私が興味を持ったことは、「起業は全く考えられない」と回答した学生の多くが、その理由を「関心を持てるものがないから」と回答していたことでした。インターネットによる情報革命が進む中、私が学生であった時代と比べても、遥かに多種多様な情報に触れられるはずの学生です。しかし、ほとんどの情報をインターネットで収集するようになると、興味本位の情報ばかりが集まり、関心を喚起するような情報に辿り着けない、という状況に陥るのだと思います。人工知能(AI)は、学生の興味情報の取捨選択は可能かも知れませんが、学生の関心を惹きつけ、行動を促すような情報までは選別できないのだと思います。

課題認識と当事者意識からのスタート

「日本の森を守る地方銀行有志の会」は、日本の森林の課題に対して当事者意識(関心)を持ったことからスタートしました。その背景には、各地域の森林の荒廃や林業の担い手の減少などの「課題認識」があったはずです。課題認識の先にあるものは、取り組むモチベーションにも繋がる「可能性の探求」であり、本会においては年2回開催される情報交換会が相当します。そして、その先に期待される具体的なアクションを考えていくことが、今回決議された「SDGsの調査・研究」になると思います。

誰が「出口」をつくることができるのか?

森林のみならず、少子高齢化など、地域の課題、地方の課題は、今や日本全体の課題となっています。私自身が、様々な国の政策に携わる中で感じることは、国の政策は現場(地域、地方)の後追いにならざるを得ないこと。そして、国が出来ることは仕組みづくりまでで、その先の実施、運営については、基本的には資金面を含めて、「現場に委ねられる」ということです。また、地域、地方の現場においても、行政(地方自治体)が出来ることは、やはり仕組みづくりまでで、その先は更なる現場へと委ねられることになります。つまり行政は課題解決に向けた仕組みづくりという「入口」はつくれても、実装、普及という「出口」まではコントロール出来ず、行政とは役割の異なる別のプレーヤーが必要になるのです。資金面、情報面において、地方自治体と現場を繋ぐことができるのは、地方銀行をおいて他にはないと思います。国や地方自治体は、既にこの事実を認識し、地方銀行との連携を積極的に推進しようとしています。これまで総務省や環境省が、情報交換会に講師として参加していることが、その証左です。一口に「地方や地域の課題」と言っても、それぞれ地域には個性や特性があり、一筋縄ではいかないものです。だからこそ、「森林」という共通の切り口で、社会課題に取り組もうとする本会のアプローチには、大きな意味があると思います。

成果目標という最初の「出口」を設定する

とは言うものの、「森林」というテーマでは壮大過ぎるかも知れません。壮大過ぎるテーマ設定は、行動になかなか繋がりづらい、ということもまた事実です。まずは、壮大なテーマをブレークダウンしていき、例えば「ヒト」という視点から考えてみてはどうでしょうか?具体的には、まず「林業の担い手を増やす」という目標(出口)を設定することから始めるイメージです。具体的な目標をひとつ設定するだけでも、現状の課題を調査、認識、把握することで、テーマに対する参加行の関心を喚起し、それが具体的な行動へと繋がっていくはずです。地方銀行には、現場の声に寄り添い、行政と現場とを繋ぐ役割が求められています。「現場を動かす力」、それが地方銀行の可能性であり、社会から期待されることなのだと思います。そして、こうした取り組みの一つ一つが「地方銀行が取り組むSDGs」へと繋がっていくはずです。

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以 上

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