トップページ >> 日本の森を守る 見山謙一郎のコラム

日本の森を守る 見山謙一郎のコラム

第38回 日本の森を守る地方銀行有志の会×SDGs(2)
~SDGsの前身「国連ミレニアム開発目標(MDGs)」とは

7月に開催された本会の総会において、新たな活動計画として、「SDGs(持続可能な開発目標)の調査・研究」が決議されたことは、前回のコラムでも紹介した通りですが、SDGsについては、メディアで取り上げられない日がないほど、今や企業、行政を問わず、向き合わなければならないテーマになっています。とは言うものの、「SDGsを理解するのは、なかなか難しい」という声もよく耳にします。それもそのはずで、SDGsを理解する為には、その前身であるMDGs(国連ミレニアム開発目標)を理解する必要があります。

国連ミレニアム開発目標(MDGs)とは

21世紀を目前に控えた2000年9月にニューヨークで開催された「国連ミレニアム・サミット」に参加した147の国家元首を含む189の加盟国代表により、21世紀の国際社会の目標として「国連ミレニアム宣言」が採択されました。「国連ミレニアム宣言」は、平和と安全、開発と貧困、環境、人権とグッド・ガバナンス、アフリカの特別なニーズなどを課題として掲げ、21世紀の国連の役割に関する方向性を示したものです。そして、この「国連ミレニアム宣言」と1990年代に開催された主要な国際会議やサミットで採択された国際開発目標を統合し、まとめられたものが「国連ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals:MDGs)」です。MDGsでは、国際社会の支援を必要とする課題に対して、2015年までの15年間に達成を目指す8つの目標、21のターゲット、60の指標が掲げられています。8つの目標とは、以下に記した通りですが、いずれも先進国から途上国に対する“支援的な視点”がベースとなっています。


目標1:極度の貧困と飢餓の撲滅

目標2:初等教育普遍化の達成

目標3:ジェンダー平等の推進と女性の地位向上

目標4:幼児死亡率の引下げ

目標5:妊産婦の健康状態の改善

目標6:HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病のまん延防止

目標7:環境の持続可能性の確保

目標8:開発のためのグローバル・パートナーシップの構築

※引用:国連ミレニアム開発報告書

MDGsの総括からSDGsへ

MDGsの取組は、貧困(例:極度の貧困の中で暮らす人の数が、1990年の19億人から2015年には8億3,600万人と半数以下に減少)や教育(例:開発途上地域における初等教育純就学率が2000年の83%から2015年には91%まで上昇)、環境(例:1990年以降に改良された飲料水を利用できるようになった26 億人のうち、19億人が身近に水道を引くことができた)等、様々な社会課題に対する取組で成果をあげましたが、社会課題はいつの時代もなくなることはなく、継続的な取組が求められます。2015年に発行されたMDGsの最終報告書である「国連ミレニアム開発報告書」の巻頭言で、潘基文(パン・ギムン)国連事務総長(当時)は、次のように記しています。


MDGsを達成するための取組の経験と功績から言えることは、私たちはなすべきことを知っているということです。しかし、さらなる進展のためには、揺るぎない政治的意志と総力を結集した長期的な取組が必要になります。根本的原因を対処し、持続可能な開発の経済、社会、環境の側面を現在よりさらに統合するためにさらに働きを強化する必要があります。

※引用:国連ミレニアム開発報告書

「私たちがなすべきこと」とは、社会的な課題と向き合うことであり、そのためには、揺るぎない長期的な取組と、根本的原因への対処、そして経済、社会、環境(CSRのトリプルボトムライン)の統合が、必要だと記しているのです。社会課題を地方の課題に置き換えると、地方経済、地方社会、地方環境(本会のケースでは「森林」)に対する取組の統合とは、まさに地方銀行そして本会のミッションと重なり合うものです。


「国連ミレニアム開発報告書」の巻頭言は、その後、次のように続きます。


明らかになりつつあるポスト2015開発アジェンダは、一連の持続可能な開発目標を含むと同時に、これまでの教訓を生かし、MDGの成功に立脚して、全ての国がより繁栄した持続可能で平等な世界をともにしっかりと目指すことを意図しています。

※引用:国連ミレニアム開発報告書

「これまでの教訓を生かし、全ての国がより繁栄した持続可能で平等な世界をともにしっかりと目指すことを意図しています」とは、MDGs的な先進国から途上国への支援という“一方向的な視点”ではなく、先進国と途上国の垣根を越えた“双方向の視点”の必要性と理解出来ます。そして、我が国でこの取組を進めていく為には、産官学金民や、都市と地方の垣根を越えた“多面的な視点”や“連携・共創の体制”が必要となります。ポストMDGsである「持続可能な開発目標(SDGs)」で求められるのは、こうした視点であり、実効力のある取組なのです。本会で「SDGsの調査・研究」を進めていく意義もそこにあるのです。

以 上

バックナンバー

ページトップへ